映画「TENET テネット」では、時間の逆行がストーリーの鍵になりました。
ただこの時間逆行が映像や物語を複雑にしていたように思います。
なので今回は図を使いながら、テネットにおける時間の概念や逆行の仕組みを整理していきます。
また、時間が絡むSF映画で議論されるタイムパラドックスについても見ていきましょう!
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目次
テネットの時間の逆行とは?
テネットには現在世界と同じ過去から未来に、右矢印の方向に時間が進む順行世界と、反対に未来から過去に左矢印に進む逆行世界が存在します。
この逆行とは、タイムトラベルのように過去の一点に飛ぶわけではなく、ある時点まで戻る形になります。
例えば一日前に戻りたいとき、タイムトラベルなら一瞬で一日前に行くことが可能ですが、テネットの場合一日かけて行くことになります。
このとき、逆行している人に対して周りの世界は順行で進んでいるため、景色が逆再生のように見えるのです。
同様に、順行世界にいる人が逆行している人を見ると逆再生しているように見えます。
映画テネットを観るときの重要なポイントは、順行と逆行どちらの視点で見ているかです。
物語全体の時系列、タイムラインは下の記事をご覧ください!

逆行装置、誰の視点で見ているかに注目!
時間の逆行を可能にしているのが劇中に登場した回転装置。
オスロ空港の保管庫と主人公が尋問を受けた倉庫、それからテネットの母船内と最後の決戦の舞台スタルスク12にもありました。
この回転ドアのシーンが非常に複雑なので混乱した人が多かったのではないでしょうか。
装置の仕組みについて解説します。
まず、装置に入ると順行と逆行が逆転。先程も述べましたが、このとき順行から逆行を見ると逆再生しているように見えます。
すると、入ろうとする人から見える出ていく人は逆再生、つまり回転ドアに戻るように見えるのです。
逆も同じようになるため、順行と逆行どちらから入る場合も、片方が入ろうした瞬間、その人の視点では装置に戻ろうする人物が必ずいます。
そして、この装置が今順行の視点なのか逆行の視点なのか、だれの視点で描いているのか混乱させていますね。
映画のシーンを振り返りながら解説していきます。
オスロ空港内の絵画の保管庫にあった回転扉のシーンを見ていきましょう。
まず、初めて主人公とニールが回転扉を目にしたとき、主人公は逆行するマスクをかぶった男と対峙します。このときの視点は順行している主人公。
後にマスクをかぶった男が主人公自身であることが判明しますね。
このマスクをかぶったの主人公は、逆行弾で負傷したキャットを助けるため、未来から逆行して爆撃があったオスロ空港まで戻ってきました。この未来から来た主人公は逆行しているため、主人公から見ると逆再生のように動いています。
そして、回転扉からシャッターのところまで決闘。視点は順行なので過去から未来に進んでいました。
後に描かれるマスクをかぶった主人公が戻って来たときは、今度は逆行の視点で見ています。この場面では最初から倉庫内にいた主人公が逆再生のような動きを見せ、未来から過去へ。シャッターから回転扉に戻るように描かれます。
このとき、マスクの主人公が視点なので、逆行弾も通常のように飛んでいました。
そして、このマスクの主人公は回転ドアに入り順行の戻ります。
このとき、順行に戻った主人公はニールと対決。両方とも順行なのでどちらか一方が逆再生しているということはありません。
初めて主人公がマスクをかぶった主人公を対決したとき、回転ドアからは二人同時に出てきましたね。これは最初から倉庫にいた主人公の順行の視点で、逆行主人公が回転ドアに入って出るシーンから始まったため、同じ人物が2人でてきたのです。(図の一番上)
後に描かれる未来の主人公視点では、逆行状態でシャッターから回転扉に入り、回転ドアから順行に戻るという一本のラインになっていました。
主人公と同様に順行と逆行を繰り返していた敵セイターのタイムラインは下の記事を御覧ください。



逆行世界で起きること
まず、逆行状態では空気を吸うことができません。ですから、逆行状態にある人物は必ず酸素マスクをしています。最後の決戦で逆行チームにいたはずのニールがラストでマスクをとっていたのは、戦いの途中で回転装置に入り順行に戻ったから。
それから、熱反応も逆になり高温のものは冷たく低温のものは熱くなります。主人公が乗る車がセイターに火をつけられ、彼が低体温症になったのもこのため。
そして、逆行弾を被弾すると致命傷になるということ。治すためには一度回転扉に入り逆行と順行を逆転させなくてはなりませんでした。
そのため、主人公とニールはキャットを連れてオスロ空港まで戻ったのです。
さらに、逆行している人の話す言葉は逆再生のようになっているため、順行の人は聞き取ることができません。
テネットの時間の概念
運命は変えられない
テネットの時間の概念を一言でいうと、「結果は決まっている、運命は変えられない」ということ。
逆行弾がわかりやすい例ですが、撃つ前から既に壁やガラスに弾痕があるように、結果は既に決まっているのです。
通常の出来事の因果関係は結果の前に原因がありますが、逆行する世界が可能なこの映画では、原因の前に結果が先に来てしまっている場合があります。
先程紹介したオスロ空港のシーンで、未来の主人公は過去の主人公に傷を負わされるわけですが、オスロ空港の戻ろうしていた時点で既に傷はできていました。
今作は主人公が第三次世界大戦に伴う地球滅亡を阻止するというミッション。
そのミッションが成功することは最初から決まっていたということになります。セイターがベトナムでキャットに殺される事実、ニールが主人公の身代わりになり死亡する事実は変えられません。
タイムパラドックスはどうなる?
劇中でも言及されていましたが、タイムトラベルが絡むSF映画において「祖父殺しのパラドックス」と呼ばれるタイムパラドックスが議論されますね。
祖父殺しのパラドックスとは、ある人が過去に行き、祖父を祖母に出会う前に殺してしまったらどうなるかというもの。殺した場合、自分は生まれないので祖父は殺せない。すると親は生き残り自分は生まれる。自分は過去に行き親を殺せるといった堂々めぐりが生じるパラドックスを表したものですね。
では、テネットのの世界ではこのパラドックスはどうなるのか。先程も述べたとおり、運命は決まっているので子が生まれるいう未来は決まっています。その上で祖父を殺そうとしたらどうなるのか。
子が生まれるということは祖父も生きている、そうなると祖父は殺すことができない。たとえ逆行しても祖父を殺すというイベントは絶対に起こらないということになります。
このタイムパラドックスを回避するため、SF映画では過去を変えた時点で新しいタイムラインができる、つまりパラレルワールドが存在するという方法があります。
バック・トゥ・ザ・フューチャーがこの例ですね。過去を変えた時点で本来の未来は起こらない、別の未来が存在してしまうということ。



2019年に大ヒットしたアベンジャーズ/エンドゲームは、別のタイムラインができるという点でバック・トゥ・ザ・フューチャーと同じですが、オリジナルタイムラインは変わらないという設定なので、タイムパラドックスは解決していません。






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※本ページの情報は2021年1月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXT公式サイト
テネットの順行逆行の解説をいろんなページで見ましたが(といっても3つくらいですが(^_^;)、ここの解説が一番わかりやすかった(しっくりきた)です。ありがとうございました。