2017年に公開された映画『ジャスティス・リーグ』は、DCコミックスの人気ヒーローたちが集結するクロスオーバー作品として大きな期待を集めました。しかし、興行収入や批評家の評価は振るわず、続編の制作は中止となってしまいました。
なぜジャスティス・リーグは期待に応えられなかったのでしょうか?この記事では、DCユニバースが失敗した理由を、マーベルとの比較、制作上の問題、そしてその後のDCの方向性から詳しく解説します。
目次
ジャスティス・リーグはなぜ失敗した?
DCはよくマーベルのMCUと比較され、「失敗した」と言われています。その理由について詳しく見ていきましょう。
当初の予定
上の表が当初のDCEUの作品ラインナップです。
もともとはジャスティス・リーグが2部構成で、1年に2本ペースでDC作品が公開される予定でした。
ところが、実際はジャスティス・リーグが一部完結となり、1年に1本ペースの公開にとどまっています。単独作品では、サイボーグ、グリーン・ランタンの公開が延期となり、公開日は未だ決まっていない状態。
こう見るとなかなかうまくいっておらず、順当に進んでいるMCUと比べて失敗に終わっているように見えても仕方がないですね
失敗の原因①:マーベルに追いつこと急ぎすぎた?
DCは、スーパーマンを除くヒーローたちを、単独作品で紹介することなく、いきなりクロスオーバー作品に登場させました。例えば、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でワンダーウーマン、『ジャスティス・リーグ』でフラッシュ、アクアマン、サイボーグが初登場しています。
クロスオーバー作品でありながら、新キャラクターのストーリーも紹介しなければならず、結果として脚本が詰め込みすぎになり、それぞれの物語が薄っぺらくなってしまいました。
制作陣は、バットマンやスーパーマンは知名度が高いキャラクターだから、いきなりクロスオーバーさせても問題ないと考えたのかもしれません。しかし、マーベルとの差を早く縮めたいという焦りが、このような判断につながった可能性もあります。
MCUの『アベンジャーズ』のように、まずは『マン・オブ・スティール』に加え、バットマン、ワンダーウーマン、アクアマンなどの単独作品でそれぞれのキャラクターを掘り下げてから、クロスオーバー作品を制作した方が、より成功したかもしれません。
失敗の原因②:ザック・スナイダーの降板
そして、ジャスティス・リーグが酷評された原因の一つとして、ザック・スナイダー監督の降板が挙げられます。スナイダー監督は家族の不幸により、制作途中で降板を余儀なくされました。
後任として『アベンジャーズ』のジョス・ウェドン監督が引き継ぎましたが、スナイダー監督が作り上げた世界観を大きく変更したことで、批判の声もあがりました。
2021年に配信された『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は、スナイダー監督が本来描きたかったビジョンを忠実に再現し、高い評価を得ました。このことから、2017年公開時にファンが見たかったのは、スナイダー監督の世界観に基づいたジャスティス・リーグだったと言えるでしょう。
もしスナイダー監督が降板せず、2017年に彼のビジョンが実現していたら、DCEUの未来は大きく変わっていたかもしれません。MCUの『アベンジャーズ』のように、クロスオーバー作品が次々と制作される未来もあったかもしれません。
ジャスティス・リーグとスナイダーカットの違いは?
では、ジャスティス・リーグとスナイダーカットではどのような違いがあったのでしょうか。
ストーリーとキャラクター:
上映時間: ザック・スナイダーカットは約4時間と、劇場公開版の約2倍の長さがあります。
これにより、各キャラクターの背景や物語がより深く掘り下げられています。特に、フラッシュ、サイボーグ、アクアマンの描写が大幅に追加され、彼らの葛藤や成長がより明確に描かれています。
ヴィラン
劇場公開版ではステッペンウルフがメインの敵でしたが、スナイダーカットでは、さらに強力な存在であるダークサイドが背後に登場します。
これにより、物語全体のスケールが拡大し、より壮大な戦いへと発展します。
ストーリー展開:
スナイダーカットでは、劇場公開版ではカットされたシーンや、新たに撮影されたシーンが追加されています。これにより、ストーリー展開がより複雑になり、キャラクター間の関係性や、彼らが直面する課題がより深く描かれています。
映像と音楽:
アスペクト比: スナイダーカットは、IMAXカメラで撮影されたシーンに合わせて、1.33:1の正方形に近いアスペクト比で公開されました。これにより、劇場公開版とは異なる映像体験が提供されます。
色調: スナイダーカットは、劇場公開版よりも全体的に暗い色調で、よりシリアスな雰囲気を醸し出しています。
音楽: スナイダーカットでは、ジャンキーXLが作曲したオリジナルのスコアが使用されています。劇場公開版とは異なる音楽が、作品全体の雰囲気を大きく変えています。
その他:
これらの違いにより、スナイダーカットは劇場公開版とは全く異なる作品となっています。どちらの作品もそれぞれの魅力がありますが、スナイダーカットはより深く、ダークなDCの世界観を体験したい方におすすめです。
興行不振と低評価によりジャスティスリーグ2続編はなぜ中止に?
DCEU作品を世界興行収入のトップからな並べると次のようになります。
- アクアマン 11.1億ドル
- バットマンvsスーパーマン 8.74億ドル
- ワンダーウーマン 8.16億ドル
- スーサイド・スクワッド 7.46億ドル
- マン・オブ・スティール 6.68億ドル
- ジャスティス・リーグ 6.58億ドル
- シャザム! 3.64億ドル
クロスオーバー作品のジャスティス・リーグが下から2番目という結果に驚いた方が多いのではないでしょうか。ジャスティス・リーグでDCのヒーローを大暴れさせるために始まったDCEUがこのような形になったら、失敗と言われても仕方がないですね。
下の図が米映画評論サイト「Rotten Tomatoes」の評価で100%を最大評価にしたときの値です。
見づらいと思うので下のサイトを御覧ください。
https://www.rottentomatoes.com/franchise/dc_comics
ワンダーウーマンやシャザムの評価は高いですが、それ以外はぱっとしないですよね。MCUは、同サイトで90%を越える作品が10個以上もあります。母体数がまず違うのですが、マーベルは70%を下回るの作品が1作品しかないんですよね。
評価を見ても、マーベルの大成功に対しDCの失敗と言われても仕方がないでしょう。
スナイダーが降板したことに加え、ジャスティス・リーグの興行不振と低評価により、続編は中止となりました。
その後DCは単独作品への回帰するも…
ジャスティス・リーグの失敗を受け、DCはクロスオーバー作品からの方針転換を図り、単独作品に注力する戦略へと舵を切りました。しかし、DCEU作品はその後もヒット作に恵まれず、シリーズとしての継続が困難な状況に陥りました。
一方で、DCEUとは異なる世界観で制作された『ジョーカー』や『THE BATMAN-ザ・バットマン-』といった単独作品は、ヒーローのオリジンや内面に焦点を当てたストーリーが評価され、興行的な成功を収めました。
DCユニバース、2024年からの再始動!新生DCUに期待高まる
低迷が続くDCEUを改善すべく、2023年、ジェームズ・ガン監督がDCスタジオの共同CEOに就任し、DCユニバースは新たな章を迎えました。
ガン監督は、マーベルで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを大ヒットさせた実績を持ち、その手腕にDC再起の期待が寄せられています。
そして2024年、ガン監督による新生DCユニバース(DCU)がついに始動します。新DCUでは、過去のDCEUとの繋がりを一部残しつつも、新たな物語とキャラクターが展開される予定です。
新DCUの展望:ジェームズ・ガン監督のビジョン
ガン監督は、DCユニバースのチャプター1を「God and Monsters」と表現し、壮大なスケールと多様なキャラクターが登場する世界観を構想しています。
すでに発表されている作品には、『スーパーマン:レガシー』や『ザ・ブレイブ・アンド・ザ・ボールド』などがあり、スーパーマンやバットマンといったDCを代表するヒーローたちの新たな物語が描かれる予定です。
また、ガン監督は、DCUを映画だけでなく、ドラマやアニメーションなど、様々なメディアで展開していく構想も明かしています。これにより、DCの世界観がより深く、広がりを持って描かれることが期待されます。
期待と不安:ファンの反応は?
新生DCUに対して、ファンの間では期待と不安が入り混じっています。
ガン監督の手腕を信頼し、新たなDCユニバースの誕生を心待ちにする声がある一方で、過去のDCEUとの繋がりがどうなるのか、お気に入りのキャラクターが登場するのかなど、不安の声も上がっています。
しかし、ガン監督は、DCファンとの積極的なコミュニケーションを図り、彼らの意見を尊重しながらDCUを構築していく姿勢を見せています。
まとめ:新生DCUの未来に期待!
2024年から始まる新生DCUは、DCにとって大きな転換点となります。
ジェームズ・ガン監督のビジョンと情熱が、DCユニバースに新たな息吹を吹き込み、世界中のファンを魅了する作品を生み出すことを期待しましょう。
今後のDCUの展開から目が離せません!