2023年6月に公開されたディズニーの実写版映画『リトル・マーメイド』は、公開前から大きな話題となっていました。しかし、その話題の中心は残念ながら、主人公アリエル役に黒人俳優のハリー・ベイリーが抜擢されたことへの批判でした。
アニメ版のアリエルのイメージとはかけ離れているという声や、ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)を意識しすぎているという意見が多く、映画の評価も二分されています。
この記事では、なぜアリエル役に黒人俳優が選ばれたのか、そしてその背景にあるディズニーの多様性への取り組みについて解説します。
目次
実写版『リトル・マーメイド』炎上騒動の理由
実写版『リトル・マーメイド』に対する批判は、主に以下の3点に集約されます。
- アリエルのイメージの違い
アニメ版のアリエルは白い肌に赤い髪というイメージが定着しており、実写版のアリエルの肌の色や髪型が大きく異なることに違和感を覚える人が多いようです。 - ポリコレへの反発
近年のハリウッド映画では、多様性や包括性を重視する傾向が強まっています。しかし、一部の人々からは、この動きが行き過ぎている、作品の魅力を損なっているといった批判の声が上がっています。 - 他のキャラクターのデザイン
アリエルだけでなく、セバスチャンやフランダーなど他のキャラクターのデザインもアニメ版と大きく異なり、原作ファンからは不満の声が上がっています。
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なぜアリエルは黒人なのか?監督のコメントから読み解く
アリエル役に黒人俳優のハリー・ベイリーが抜擢された理由について、監督のロブ・マーシャルは以下のようにコメントしています。
私たちはただ、この役に最適な俳優を探していただけなのです。すべての人と、すべての民族を見ました。その目的は、『信じられないほど強く、情熱的で、美しく、賢く、利口』で、『情熱と喜び』を持つことができる人を見つけることでした。
つまり、監督は人種にこだわらず、アリエル役にふさわしい才能と魅力を持つ俳優を探していたということです。そして、徹底的なオーディションの結果、ハリー・ベイリーがその条件を満たしていると判断されたのです。
監督のコメントからは、ポリコレを意識したキャスティングではないことが読み取れます。しかし、それでもなお、なぜあえて黒人俳優を選んだのかという疑問が残ります。
ディズニーの多様性への取り組み
ディズニーは近年、映画やテレビ番組において多様性と包括性を重視する姿勢を明確にしています。
例えば、2019年に公開された実写版『アラジン』では、ジャスミン役としてインド系イギリス人俳優のナオミ・スコットが起用されました。また、2020年に公開されたアニメ映画『ソウルフル・ワールド』では、主人公に黒人男性が設定されました。
これらのキャスティングは、これまで白人中心だったディズニー作品のイメージを刷新し、より多様な人々が共感できる作品作りを目指すというディズニーの意図を示しています。
人魚に人種はあるのか?
そもそも、人魚に人種は存在するのでしょうか?
人魚は、北欧神話やギリシャ神話などに登場する伝説上の生き物であり、特定の人種には属しません。しかし、ディズニーのアニメ版『リトル・マーメイド』では、アリエルは白い肌に赤い髪という西洋的なイメージで描かれていました。
実写版でアリエルを黒人として描くことは、この固定観念を打ち破り、人魚という存在に新たな解釈を加える試みと言えるでしょう。
ハリー・ベイリーの歌唱力と演技力
アリエル役に抜擢されたハリー・ベイリーは、卓越した歌唱力と演技力で高く評価されています。
彼女の歌声は、予告編が公開された時点で大きな反響を呼び、多くの人々を魅了しました。また、映画本編でも、その歌声と演技は高く評価されており、アリエルというキャラクターに新たな魅力を与えています。
and halle bailey was 19 when she was cast in the little mermaid https://t.co/cZ2Rotrz2j pic.twitter.com/1aTye789fp
— alex 🐇 (@judeeIevinson) June 6, 2023
実写アラジンのジャスミンの歌声もそうですが、ミュージカルの側面が強い作品においては歌唱力の高い女優を起用されているように伺えます。
まとめ
実写版『リトル・マーメイド』のアリエル役に黒人俳優が起用されたことは、多くの人々に驚きと議論をもたらしました。
ハリー・ベイリーの歌唱力と演技力は、アリエルというキャラクターに新たな魅力を与え、多くの人々を魅了しています。
実写版『リトル・マーメイド』は、人魚という存在に新たな解釈を加え、多様な人々が共感できる作品を目指した意欲作です。ぜひ、この機会に映画館でご覧ください。