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映画『ジョーカー』アーサーの笑い病の元ネタは?影響を受けた作品も解説!

映画『ジョーカー』でホアキン・フェニックスが演じたアーサー・フレック。

彼の抱える「笑い病」の奇異な笑い声は、観る者の心を深く揺さぶります。まるで感情のダムが決壊したかのような、あの痛々しい笑い。思わず目を背けたくなるほど、ホアキン・フェニックスの演技は真に迫っています。

本作は、アメコミヒーローのバットマンの宿敵であるジョーカーの誕生を描いた作品。しかし、単なる悪役のオリジンストーリーではありません。社会から見捨てられた男の孤独と絶望、そして狂気が、観る者の心に重くのしかかります。

 

この記事では、アーサーの笑い病の原因、影響を受けた作品、そしてアーサーが抱えていた病気と現実世界との関係について深く掘り下げていきます。

さらに、映画『ダークナイト』でジョーカーを演じたヒース・レジャーの演技との比較も交えながら、ホアキン・フェニックスの演技の凄さを解説します。

映画『ジョーカー』をより深く理解したい方は、ぜひ最後までお読みください。


アーサーの笑い病、その悲痛な原因と精神疾患との関係

アーサーを苦しめる「笑い病」は、感情とは無関係に突発的に笑い出してしまう神経疾患がモデルになっています。

映画の中では「Pseudobulbar affect(仮性球麻痺情動)」という病名が示唆されていますが、これは脳の損傷などによって引き起こされる、感情のコントロールが効かなくなる症状です。

 

本作では、アーサーの笑い病の原因が、幼少期の壮絶な虐待にあったことが示唆されています。

アーサーは、母親ペニーの養子であり、彼女が当時付き合っていた男から虐待を受けていたことが、過去の資料から明らかになります。この脳への外傷が、アーサーの笑い病を引き起こしたと考えられます。

 

アーサーの笑い方は、ただ面白いから笑うのではありません。悲しみ、怒り、恐怖、あらゆる感情が混ざり合い、コントロールできないまま笑いとして噴出してしまうのです。ホアキン・フェニックスは、この複雑な感情を見事に表現し、観る者をアーサーの苦悩に引きずり込みます。

 

さらに、アーサーは強い孤独感、抑うつ状態、そして現実と妄想の区別がつかない状態にも苦しんでいます。

これらの症状は、統合失調症やうつ病などの精神疾患と深く関連しています。映画の中でアーサーは精神科医から薬を処方されていますが、社会福祉予算の削減により、治療を継続することができなくなります。これは、現代社会における精神医療の問題点を浮き彫りにしています。

アーサーの狂気は、彼自身の弱さだけが原因ではありません。貧困、孤独、社会からの無理解、そして度重なる挫折。これらの要因に加え、幼少期の虐待体験が複雑に絡み合い、アーサーを狂気の淵へと突き落としていくのです。

 

ジョーカーが影響を受けた作品

本作は、マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』から強い影響を受けています。

『タクシードライバー』の主人公トラヴィス・ビックルもまた、社会から孤立し、徐々に狂気に蝕まれていく男です。アーサーとトラヴィス、二人の孤独な男の姿が重なり合い、本作に深みを与えています。

特に、ロバート・デ・ニーロが演じる人気トーク番組の司会者マレー・フランクリンは、『タクシードライバー』でトラヴィスが憧れる政治家、『キング・オブ・コメディ』で主人公が憧れる人気コメディアンへのオマージュと言えるでしょう。憧れの人物に裏切られるという共通の展開が、二人の狂気の深淵を際立たせています。

『キング・オブ・コメディ』もまた、コメディアンを夢見る男の狂気を描いた作品です。主人公は、人気コメディアンに執着し、やがて狂気的な行動に走ります。アーサーもまた、コメディアンを夢見ていましたが、現実は残酷でした。この対比が、アーサーの悲劇をより強調しています。

 

ホアキン・フェニックス と
ヒース・レジャーを比較

『ジョーカー』と『ダークナイト』、そしてホアキン・フェニックスとヒース・レジャー。二人のジョーカーを比較することは、それぞれの作品、そして俳優の演技の深淵を覗き込むことでもあります。

ヒース・レジャーのジョーカーは、まさに「狂気」そのものです。

不気味なメイク、予測不能な行動、そして底知れない悪意。彼は、バットマンの正義を嘲笑い、ゴッサムシティを混沌に陥れます。その圧倒的な存在感は、映画史に残る悪役として今も語り継がれています。彼は、用意周到で計画的、バットマンが絶対勝てない宿敵像として完璧に描かれています。しかし、その狂気の奥にある感情は見えず、何を考えているのか一切わからない不気味さがあります。

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一方、ホアキン・フェニックスのジョーカーは、より人間的な弱さ、そして痛々しさを抱えています。

彼は、社会から見捨てられ、虐げられ、そして狂気に追い込まれていく男です。彼の笑い声は、絶望と怒りの叫びであり、観る者の心を深く揺さぶります。彼は衝動的で、人間味があり、自分自身の感情、これまで培ってきたフラストレーションをジョーカーという形で発散しているようにも伺えます。そのため、彼の感情をより読み解くことができるように思います。

 

二人のジョーカーは、それぞれ異なる魅力を持っています。ヒース・レジャーのジョーカーは、絶対的な悪役としてのカリスマ性を放ち、ホアキン・フェニックスのジョーカーは、観る者を共感と恐怖の渦に巻き込みます。どちらの演技も、ジョーカーというキャラクターに新たな深みを与え、映画史に燦然と輝く金字塔を打ち立てました。

まとめ|映画『ジョーカー』が突きつける現代社会への問いかけ

映画『ジョーカー』は、アメコミ映画の枠を超え、現代社会が抱える闇を鋭く描き出しています。

アーサーの笑い声は、社会から見捨てられた人々の悲痛な叫びであり、幼少期の虐待が彼の人生にどれほどの影を落としたかを物語っています。

 

ホアキン・フェニックスの鬼気迫る演技、そしてマーティン・スコセッシ監督へのオマージュとも言える演出の数々。本作は、単なるエンターテイメント作品ではありません。観る者の心に深い傷跡を残し、現代社会について深く考えさせる力を持っています。

映画『ジョーカー』は、私たちに問いかけます。あなたは、この狂った世界で、正気を保つことができるでしょうか?そして、私たちは、アーサーのような悲劇を繰り返さないために、何をすべきでしょうか?