クリストファー・ノーラン監督の傑作SF映画『インターステラー』。
地球滅亡の危機に瀕した人類が、新たな居住可能な惑星を求めて宇宙へと旅立つ壮大な物語です。
しかし、この映画を一度観ただけでは理解しにくい要素も多数存在します。中でも、謎に包まれた存在「彼ら」とは一体何者なのか、そしてワームホールを作ったのは誰なのか、疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「彼ら」の正体やワームホールの謎について、映画の内容を紐解きながら深く考察していきます。
また、5次元立方体テッセラクトについてもわかりやすく解説し、映画序盤のシーンとどのように繋がっているのかを明らかにします。さらに、未来人の介入や運命論、時間軸の概念など、映画『インターステラー』における重要なテーマにも触れ、読者の理解を深めることを目指します。
SF映画の金字塔とも言える『インターステラー』の世界を、一緒に再探索してみましょう。
目次
インターステラーの”彼ら”の正体は？
映画『インターステラー』において、「彼ら」とは、未来に存在する人類だと明かされています。彼らは、5次元の世界に到達し、時間と空間を自由に操れるようになった存在”五次元人”です。
未来の人類がワームホールを作り、過去を救う
映画の終盤、主人公クーパーはブラックホールに吸い込まれ、5次元立方体テッセラクトへとたどり着きます。そこで彼は、過去、現在、未来が同時に存在する空間を目の当たりにします。そして、この空間を作り出したのが、未来の人類であることを悟ります。
未来の人類は、滅亡の危機に瀕した過去の人類を救うために、ワームホールを作り出し、クーパーを導いたのです。しかし、彼らは直接干渉することはできず、クーパーを通して娘のマーフにメッセージを送ることで、人類を救うための重要な情報を伝えます。
なぜワームホールを作ったのか？
未来の人類がワームホールを作ったのは、自分たちの存在を保証するためでもあります。過去の人類が滅亡してしまえば、未来の人類も存在しなくなってしまうからです。
これは、いわゆる「タイムパラドックス」の問題をはらんでいます。しかし、映画『インターステラー』では、未来の人類が過去に干渉することで未来が変わるのではなく、未来が確定していくという考え方が示されています。
5次元立方体テッセラクトとは？
テッセラクトは、4次元超立方体に時間の概念が加わった5次元空間を表現したものです。映画では、無数の本棚が並ぶ空間として描かれています。
これは、クーパーの娘マーフの部屋の本棚と繋がっています。クーパーは、この空間を通して、過去のマーフにメッセージを送ることで、人類を救うための重要な情報を伝えます。
映画序盤のシーンで、マーフの部屋の本棚から本が勝手に落ちたり、砂嵐で不思議な模様が描かれたりする現象は、このテッセラクトを通して、未来のクーパーが干渉していたことを示唆しています。
「彼ら」ができること
未来の人類である「彼ら」は、5次元の世界に存在し、時間と空間を自由に操ることができます。しかし、過去への直接的な干渉はできません。
クーパーがテッセラクト内で過去に干渉できたのは、重力を操ることで、本を落とす、砂嵐で模様を描くといった間接的な方法に限られていました。
これは、未来の人類が過去を変えられるのか、変えられないのかという問いに対する、映画『インターステラー』なりの答えを示しています。つまり、過去は変えられないが、未来は確定していくという考え方です。
時間軸の概念と未来人の介入：
ループではなく一方通行の通信
映画『インターステラー』における時間軸は、ループ構造ではなく、一本の軸として流れています。未来人は過去に情報を送ることはできますが、直接的に過去を変えることはできません。
クーパーがマーフに送ったメッセージは、未来を変えるのではなく、未来を確定させるための情報でした。これは、未来人は過去に影響を与えることはできるが、それを変えることはできないという映画の重要なテーマを示しています。
図のように、マーフとクーパーそれぞれの視点で見ると、出来事は直線的に進んでいるように見えます。
しかし、ワームホールやブラックホールの影響で、情報データが過去、現在、未来の概念を超えて飛び交うため、矛盾を感じてしまうのではないでしょうか。
また、データに着目すると、マーフの部屋で怪奇現象が起こるところから、クーパーがテッセラクトを通してメッセージを送るまでがループしているように見えます。しかし、マーフとクーパーの経験は常に前に進んでおり、ループした情報を元に未来人が人類の滅亡を知り、ワームホールをつくるに至ったと考えることができます。
未来人の介入と運命論
未来の人類が過去に干渉することで、運命は決まっているのか、それとも変えられるのかという問いは、映画『インターステラー』の重要なテーマの一つです。
映画では、未来の人類が過去に干渉することで、未来が確定していくという考え方が示されています。これは、運命論的な考え方とも言えます。
クーパーがマーフにメッセージを送ることで、人類を救う未来が実現したことは確かです。
しかし、それがクーパーの行動によって未来が「変えられた」のか、それとも最初から「確定していた」のかは、映画の中では明確にされていません。クーパーがメッセージを送れなかった場合の未来が描かれていない以上、未来が変えられるという解釈はあくまで可能性の一つに過ぎません。
つまり、映画『インターステラー』では、運命は決まっているのか、変えられるのかという問いに対する明確な答えは示されていません。それは、観客一人ひとりが自由に解釈できる余地を残していると言えるでしょう。
まとめ
映画『インターステラー』に登場する「彼ら」は、未来に存在する人類であり、5次元の世界に到達し、時間と空間を自由に操れる存在です。
彼らは、過去の人類を救うために、ワームホールを作り出し、主人公クーパーを導きました。
5次元立方体テッセラクトは、過去、現在、未来が同時に存在する空間であり、クーパーはここで過去のマーフにメッセージを送ることで、人類を救うための重要な情報を伝えます。
映画『インターステラー』は、時間軸の概念や未来人の介入、運命論など、深いテーマを扱っており、観る者に多くの問いを投げかけます。これらの問いに対する答えは、観客一人ひとりが自由に解釈できる余地を残していると言えるでしょう。
この記事が、映画『インターステラー』の理解を深める一助となれば幸いです。
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